フリーランスウエディングプランナーの収入構造②~委託料~
婚礼会場(プロデュース会社)とフリーウェディングプランナーの求人マッチングサイト・
『プラスワン・プランナー』は、会場とプランナーの相互メリットに重点を置いています。
フリーウェディングプランナーの収入構造シリーズの2回目として、
「委託料」に焦点を当てて、
『プラスワン・プランナー』を利用するメリットを探っていきます。
1.前回のおさらい
前回もお伝えしましたが、『プラスワン・プランナー』における、
会場とフリーウェディングプランナーとの契約形態は、
雇用契約ではなく業務委託契約です。
業務委託契約とは、
「企業に雇われるのではなく、
企業と対等の立場で業務の依頼を受ける働き方です。
どんな仕事内容を、いくらで、どのように遂行・完了させるか等、
仕事の内容ごとに契約を結んで働きます。(エン転職 Q&Aより)」
とお伝えしました。
ということは、
フリーウェディングプランナーは、
独立した個人事業主として、
会場側と雇用契約ではない契約を結んで
プランニングを受注することとなるわけです。
どこの会場にも所属しない独立型プランナーとして、
「仕事単位」での契約を、
会場とフリーウェディングプランナー間にて締結するということです。
となると、報酬はどのように発生するのでしょうか?
当然、「仕事単位」「案件単位」にて、発生することとなります。
この、「仕事単位」をベースとして発生する報酬のことを、
『委託料』といいます。
では、この委託料は、
何を基準に決めるでしょうか?
また、いったい、どれぐらいの金額が妥当となるのでしょうか?
2.委託料
・標準工数
業務委託における委託料の基準というのは、
どうやって決められるのでしょうか?
そこには、いくつかの基準があります。
一つには、
製造業などで一般的な概念として定着している、
『標準工数』という考え方があります。
これはたとえば、
部品一つを取り付ける作業に、
初心者は45分、
ベテランは15分、
そこそこ慣れた人で、30分かかったとします。
まちまちですよね。
・標準工数の具体例
これをたとえば、時間給に換算したとします。
ベテランは15分で一つの部品取付が出来るのに対し、
初心者は45分かかる、
そこそこ慣れた人で30分、
時給を仮に1,000円とすれば…
本来、一番早く仕事が出来る人の方が
高いお金をもらえそうなのに、
時給換算すると、
ベテランは、1,000円*0.25時間=250円
初心者は、1,000円*0.75時間=750円
そこそこ慣れた作業者で、1,000円*0.5時間=500円
と、逆転現象が生じてしまいます。
これでは、モチベーションは下がるし、
ゆっくり、テキトーに作業した方がいいや、
となってしまいますよね?
これでは、本末転倒です。
これを避けるために生まれたのが、
『標準工数』という考え方です。
初心者で45時間、
ベテランで15分、
そこそこ慣れた作業者で30分、
この間をとると…
ちょうど、『30分』となります。
標準工数の工数とは、平たく言うと、『時間』です。
なので、この作業における標準工数は、
『30分=0.5工数』と決めることができるのです。
・標準工数を基にした計算
ということは、仮に、この作業が10台分あったとします。
この作業における時給は1,000円なので、
1,000円*10台*標準工数0.5=5,000円となります。
これを、各作業者ベースで考えると…
・ベテランは
⇒1台15分で作業できるので、
15分*10台=150分=2.5時間で5,000円を獲得
⇒実質時給は、5,000円÷2.5時間=2,000円
・初心者は
⇒1台45分かかるので、
45分*10台=450分=7.5時間で5,000円を獲得
⇒実質時給は、5,000円÷7.5時間=666円
・そこそこ慣れた作業者は
⇒1台30分かかるので、
30分*10台=300分=5時間で5,000円を獲得
⇒実質時給は、5,000円÷5時間=1,000円
と、全く同じ作業をしているにもかかわらず、
かたや少ない時間で多くの報酬を獲得でき、
かたやより多い時間をかけて得るものが少ないという結果になるわけです。
3.プランニングの『委託料』の決め方
上では、委託料の基準として、
『標準工数』という考え方があると説明しました。
これを用いることで、
人によって異なる作業スピードの中間値を出すことが出来るので、
各個人ごとの実質の時給や生産性を平等に決めることができることを
ご理解いただけたと思います。
では、プランニングにおける委託料の決め方は、
どのように行えるでしょうか?
・プランニングの『委託料』の決め方
ここでも、『標準工数』の考え方を適用できます。
ひとえにプランニングといっても、
婚礼においては、
「新規接客」と「施行担当」に大別できるかと思います。
ⅰ.新規接客
その名の通り、会場に新規来館される新郎新婦様の接客業務です。
これは、「接客にかかる時間」と
「決定にもちこむための労力」とに分けることができます。
それぞれ見ていきましょう。
・「接客時間」
まず、「接客にかかる時間」ですが、
全国平均的にみて、3時間前後というのが目安かと思います。
つまり、『標準工数=3』ということです。
・「決定にもちこむための労力」
これは、新規接客した新郎新婦を決定へと導いた場合のコスト、
つまり「決定コスト」とも定義できます。
仮に、あるプランナーの平均成約率を30%とします。
10回接客して3回成約できるという考え方です。
⇒10回の接客に要する工数は、標準工数3*10回=30工数
このうち、3回=30%成約に持ち込めるとすると、
30工数*30%=9工数となります。
つまりは、
このプランナーの『決定コスト=標準工数』は、9ということです。
・では、委託料は?
仮にある会場の時給が2,000円とします。
上に挙げたプランナーの例だと、
「接客委託料」 → 時給2,000円*3工数=6,000円
「決定委託料」 → 時給2,000円*9工数=18,000円
このように計算でき、
委託料を算出することができます。
続いて、施行にかかわる委託料はどうでしょうか?
ⅱ.施行担当
新規接客と同じく、
施行に関しても、標準工数を算出できます。
仮にある会場における
新郎新婦とプランナーとの打合せ回数の平均が5回とします。
1回あたり、3時間平均でかかるものとします。
今まで見てきたことと同じ考え方に立てば、
打合せ1回ごとの「標準工数=3」となります。
打合せ回数が5回あるので、
5回*標準工数3=15工数となります。
その他、結婚式を迎えるまでの、
メール・電話でのやりとりにかかる標準工数を20とします。
また、結婚式前日における搬入準備の工数を5、
結婚式当日における工数を10とします。
これらを足すと、総工数、いくらになるでしょうか?
・打合せ5回*標準工数3=15工数
・メール電話の標準工数=20工数
・前日準備の標準工数=5工数
・当日の担当における標準工数=10工数
⇒総工数は、50工数となります。
そして肝心の委託料としては、
時給換算で2,000円*50工数なので、
100,000円と算出できることとなります。
4.まとめ
以上みてきたように、
標準工数という考え方を用いれば、
会場からフリープランナーへの委託料の算出がしやすいことが
おわかりいただけたかと思います。
もちろん、これは、
会場種別・婚礼スタイルによっても、
大きくバラツキがあるため、
またプランナーのスキルによっても
変動幅が大きいため、
今回お見せした例は、あくまでもホンの一例に過ぎないですが、
・フリープランナーへの委託ってどうすればいいの?
・会場からの受託って、費用はどんな感じなの?
と、よくいただく質問に対する
一つの目安にはしていただけるかなと思います。
今回は、委託料について詳説してきましたが、
次回は、フリーウェディングプランナーが、
自分で新郎新婦様を集客してプロデュースする際の
プロデュース料について案内していきたいと思います。
乞うご期待を!!!
こちらもおすすめ
-
フリーウェディングプランナーの心構え
ウェディングプランナーのフリーランス化は、
コロナ禍を受け、今後ますます進展していきます。雇用による人件費負担を会場がまかなえなくなるので、当然且つ自明の理です。
そうした社会状況の変化のなか、
フリープランナー にはどういった心構えが必要となるのでしょうか?完全独立型フリープランナー と業務委託型フリープランナー とにわけて、
それぞれ説明していきます。 -
インボイス制度下におけるフリープランナーへの弊社対応方針
Indexいままでお仕事いただいている既存プランナーの場合①インボイス登録のフリープランナー(課税事業者)②インボイス未登録のフリープランナー(免税事業者)これから新規でご登録いただくプランナーの場合・・・
-
プランナーの内製化(雇用)は完全に時代に逆行しています。
世の中、多くの産業において、
「アウトソーシング化」が進行しています。とりわけ製造業においては、
2004年の労働者派遣法の改正による製造業への派遣解禁以降、
驚愕的な勢いで外注化が進展しています。もっとも、それにより、
「正規雇用の減少」および、
「非正規雇用の増加」という流動的且つ不安定な労働環境という
別の側面が生まれることともなっていますが、
この勢いは今後ますます拡張していくことと思われます。 -
業務委託ウエディングプランナー需要の大増加!!
いつもありがとうございます。 更新が滞っておりましたが、 プラスワンプランナーの現況を報告させていただきます。 現在、「家族婚およびフォトウェディング」をメインとするお取引様にて コロナ以前よりもさら・・・