現状の社会動向とブライダル業界の動向
さて、10月に入りましたので、
簡単に社会的な動向とブライダル業界の動向をお伝えいたします。
【労働市場全体の概況】
①雇調金特例が切り札に
・失業率 2.6ポイント 押下げ
厚労省が公表した「労働経済白書」によると、 雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金が完全失業率抑制に 果たした効果は 2.6 ポイント 程度だったことが明らかになりました。 同白書には、 「新型コロナウイルス感染症が雇用・労働に及ぼした影響」という副題が付されています。 分析対象は 2020 年4~ 10 月の7カ月間です。 2020年10月時点における実際の失業率は単月で 3.1 %、月平均 2.9 %に達していました。 雇用調整助成金の対象労働者が支給を受けなければ全て失業したと想定して試算すると、 雇調金の抑制効果は 2.1 ポイント 、緊急雇用安定助成金が 0.5 ポイント 程度と見込まれます。 こうした特例措置がなければ、失業率は5%を大きく超えていた可能性があります。 一方、新型コロナの影響でテレワークが急速に普及しましたが、 白書では、オフィスワークに比べて生産・効率性などでやや劣ると評価しています。 テレワークを中止した企業については、 テレワーク中の連絡調整や就業環境に問題があったケースが多く、 労務管理上の工夫が必要と指摘しています。
②ジョブ型インターンの試行へ
産学 90 団体が協議会設立 大学院生のジョブ型研究インターンシップの普及に向け、 先行・試行的取組に参加する 45 社、45 大学が推進協議会を設立しました。 同インターンシップは、大学院生を有期雇用契約で受け入れ、終了後は勤務ぶりを評価し、 直接雇用に結び付ける仕組みで、文部科学省が導入を進めています。 対象となる理工農系の博士課程学生にとっては、 正規の教育課程として民間企業の業務にタッチする機会を得られます。 今後、日本でもジョブ型雇用(職務内容に応じて必要な経験・スキルを持つ人材を雇用する制度)が 拡大すると予想され、 将来的には修士課程学生への適用も視野に入れられています。
まず、上記①を要約すると、コロナ禍における失業率の悪化に関して、
「雇用調整助成金」が一定のブレーキの役割を果たしたということです。
本来であれば、ブライダル業界においても解雇や失業がもっと増加していたところ、
「雇用調整助成金」により、それらが免れたということです。
この部分は弊社もかねてより注目している点で、
具体的には、 その「雇調金」が打ち止めになったあと、失業が増えるのか?という部分です。
この点、
1.失業の増加とは相反する形で、
つまり反比例する形で多様な働き方=フリーランスの仕事が増加するのでは? という憶測と、
2.ワクチン接種や新薬の承認による結婚式需要の復活により
逆にプランナーの雇用求人が増え、フリーの増加は増えないのでは? という見方とで分かれています。
この点を考えるうえで、 ②の「ジョブ型インターンの増加」という事象も示唆に富んでいます。
これはまさしく、フリープランナー的な働き方そのものともいえるでしょう。
皆さんはこれらに関して、どのように考えるでしょうか?
一度、ご自身で考えてみるのもおもしろいと思います。
【ブライダル業界の動向】
10月に入り、
①緊急事態宣言の解除の影響
②ワクチン接種の進展 上記等により、
新規来館数が増加することが見込まれます。
足元の来館数は増加し、
この着地が来秋までの予約状況を左右すると思われます。
現状は、コロナの影響により、 繁忙期に集中する動向がどの式場においても見られます。
これらの理由としては、
①過去の数度の宣言を経て、一度予約した日程をキャンセルおよび延期する顧客が減少した。
②全体の来館は低下していたが、それでも新規に来る顧客のニーズが人気シーズンに集中した。
ということが挙げられます。
そして問題は、この宣言解除以降のコロナの動向です。 容易に予測できることは第6波の到来です。
これにより再び第5回目の緊急事態宣言が発令される可能性も十分考えられます。
この際、来館動向がどのようになるか未知数ですが、
秋冬にかけては例年、コロナやインフルなどの感染症は流行しやすい傾向にあるため、
再び新規来館に影響がでる可能性も考えられます。
こうした状況が続けば、会場側はジワジワと手元流動性が減少していくため
いくら「雇調金」があったとしても、 雇用を制限し、
フリーの活用に切り替えていく可能性も十分考えられます。
そのうえで、雇用か委託か、どちらのニーズが重視されていくのか?
これは会場側だけでなく、
当のプランナー側のマインドがどちらに関心が向かうのか? という点でも変化していく可能性があるので、
この点も含め、どうなっていくか、動向を注視してまいりたいと思います。
【投資家の動向】
投資家目線でいくと、
ブライダルは「アフターコロナ銘柄」との認識が強いです。
株価は「投資家の期待」が反映されていますので、
コロナ禍においてもA社とT社の株価は続伸しています。
逆に、G社やB社などは特に変化なく低い位置を推移しています。
軒並み、EPS(1株あたり利益)はマイナスもしくは極めて低い値にも関わらず、
投資家の視線は一様ではありません。
これらの理由は多岐にわたりますが重要なことは 同じブライダル企業に対しても、
投資家の注目度は異なっているということです。
このあたりは専門的な経済の話になりますので割愛しますが、
関心のある方はお問い合わせください。
【政治の動向とインボイス問題】
2023年10月より、インボイス制度が始まります。
この制度導入がフリーランスや副業者に与える影響は
計り知れないほど大きいと言われています。
◆インボイス制度と問題点
https://biz.moneyforward.com/invoice/basic/48071/#1000
皆さま、この制度はご存知でしょうか?
簡単にお伝えすると、
・年間の売上が1000万以下の個人事業主や副業者(フリープランナー)が課税事業者登録をしないと、
取引業者(会場など)がまるまるその課税分の消費税を支払うことになる ということです。
フリープランナーの多くは、
年間売上が1,000万以下の個人事業主もしくは副業者かと思います。
特に1,000万以下の個人事業主は
個人事業主500万人のうち180万人程度存在すると言われています。
現行の法制度では、1,000万以下の事業者には消費税の支払いが免除されています。
この制度の適用可能な事業主のことを免税事業者と言います。
この制度により多くの零細事業者が助かっており、
本来はその支払いをせねばならない分を値引きなどして、
なんとか仕事をもらうために必死に価格設定をしています。
ですがインボイス制度が導入されると、
免税事業者に対して支払った消費税は仕入控除が認められないため、
取引先がまるまる損をすることになります。
例)
①A社がフリーBさんに商品を100万で発注
②A社は100万+消費税10%の10万をBさんに支払う
③A社は取引先C社に、200万でBさんから仕入れた商品を売る
④この時の消費税としてA社は200万の10%である20万をC社からもらう
⑤A社は、C社から受け取った20万の消費税と、Bさんに支払っている10万の消費税10万の差額
つまり20-10=10万の消費税を、国に納めます。 これが現状の流れです。
ですが、インボイスが導入されると、 フリーのBさんが課税事業者登録をしない限りは、
Bさんに注文した100万の10%=10万の仕入消費税が認められないことになります。
ということは、A社は20万をまるまる国に消費税としておさめることとなります。
ここで何が起こるか?
①A社はBさんとの契約を打ち切る もしくは
②Bさんに値引きを迫る といったことが起きてしまいます。
①の場合はそもそもフリーにとっては死活問題です。
②の場合は、もともとBさんは熾烈な競争に打ち勝つために、
消費税を入れた110万のなかでやりくりできるように原価の価格設定しています。
つまりは原価が仮に100万であったとして
消費税の分だけ粗利が確保できるように価格設定していたとします。
ということはそこから値引きを迫られるとどうなるか?
つまりは100万から値引きを迫られるとどうなるか?
当然、原価割れしてしまいます。
要は①②のどちらにしても共倒れで、死活問題となります。
【今後どうなるのか?】
こうした事象が目前と迫っているのが2021年10月現在の日本です。
幸いフリーランサーにとって救いが一つあります。
これらの制度的な改定を廃止しようという政治的な動きもたくさん存在するということです。
インボイス導入とインボイス廃止との間で、 政治もせめぎあっています。
ぜひ一度、自分自身で社会の動向に関して調べていただくことをお勧めします。
ここでは政党の是非を論じることは一切しませんが、
主権者である我々は選挙で民意を示し選択することができます。
消費税に関しても、5%に戻すことや廃止を主張する政党もあります。
かたや20%にあげようという政党もあります。
あくまでも選ぶのは我々なので、自分たちの選択が自分たちの生活に及ぼす影響をよく考え、
ブライダルや社会の動きにもぜひ目を配っていくことが肝要かと思われます。
またまた幸い、10月には衆院選もあります。
ドイツの投票率は80%です。
オーストラリアでは選挙にいかないと罰則規定が適用されます。
それぐらい諸外国では、政治と社会に関心を持ち、
みなが自分ごととしてとらえて 政権を選択しています。
ぜひ我々も、難しく考えずに、
ブライダルをより良くするため、
自分たちの未来をより良くするために勉強してまいりましょう!
それでは引き続きよろしくお願いいたします。
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